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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第2章 お茶会狂想曲
フレデリックはオスカーを振り返り、ふっと冷めた眼差しで笑う。
「…そりゃそうさ。…イートン校なんて、富裕層の生徒が掃いて捨てるほどいるんだから。…寄付金もロクに払えないような没落貴族の子弟なんか単なる厄介ものさ」
「…フレデリック様…」
フレデリックは再び、湖を見つめながら話し始めた。
「…僕がイートン校を去る日、車に乗り込もうとしていたら彼が来た…」

…弁護士に付き添われながら、青白い弱々しい顔をして…それでも必死にフレデリックの側まで一人で歩いて来た。
そして…深々と頭を下げた。
「…ごめんね。本当に…申し訳ないことをした。…君の将来をめちゃくちゃにしてしまった…。君は悪くないと散々言ったんだけど、取り合ってもらえなかった…。僕は非力だ。
許してくれなんて言わない。…忘れてくれ…。こんな僕のことなんか…。さっさと忘れてくれ…」
頭を下げ続ける彼を見て、フレデリックは腹立たしさの余り、声をかける気にもならなかった。
…忘れてくれだって?
何を勝手なことを…。
こっちはお前が起こした事件のとばっちりで放校になった上に、ビッチ呼ばわりまでされたのに。

フレデリックは唇を引き結ぶと、彼の前を無言で通り過ぎ、迎えの車に乗り込んだ。
車が走り去る一瞬、ちらりと振り返ると…
彼は直立不動で、フレデリックの車を見つめていた。

…勝手な奴…
なんて勝手な…

「…彼のラテン語は流暢で綺麗だった。…たまに早朝に礼拝堂を覗くと…彼が一人でラテン語で賛美歌を歌っていたり、詩の暗唱をしているんだ…。
真面目な顔をして…いつも神経質そうに眼鏡を押し上げて…。…少しもユーモアを解さない顔をして…。
…だけど僕と目が合うと、彼は面白いくらいに慌てて真っ赤になるんだ」

フレデリックはくすりと笑う。
…本当は…分かっていた…。
彼が僕を好きなことを…。
真っ直ぐに、不器用だけど無垢な目で僕をいつも見つめていることを…。
僕は気づかないふりをして…もっと僕を見ろ、もっと僕を好きになれと念じていたんだ…。

「…フレデリック様」
フレデリックは偽悪的に笑う。
「優等生を揶揄うのは面白いからね」
オスカーはゆっくりとフレデリックの前に回り込み、静かに告げる。
「…フレデリック様、貴方はもしや…その上級生が好きだったのではありませんか?」
フレデリックのアイスブルーの瞳が驚愕に見開かれる。
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