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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第2章 お茶会狂想曲
突然響いた派手な水音に、アルフレッドとリヒャルトは顔を見合わせる。
それに続き、オスカーの切迫した叫び声が聞こえた。
「…フレデリック様!」

アルフレッドは雷に打たれたかのように立ち上がり、湖畔の方を凝視する。
「…まさか…オスカー!」
震える声で呟いたかと思うと、脱兎の如く走り出す。
慌ててリヒャルトが追いかける。
「アルフレッド様!お待ちください!」

…オスカー…オスカー…オスカー!
オスカーに…オスカーになにかあったらどうしよう…。
走りづらい草原を全力疾走する。
普段、運動を殆どしないアルフレッドは直ぐに息が上がる。
早鐘のように打ち続ける心臓を宥めながら、少しも脚を弱めずに走り続ける。

…オスカー…オスカー…オスカー!
どうか無事でいてくれ!
オスカー…!

浅い呼吸を繰り返しながら、アルフレッドは漸く湖畔に辿り着いた。
はあはあと肩で息をしながら、必死で湖を見つめる。

…アルフレッドの眼に飛び込んできたのは…
湖の中程で、溺れかけていたフレデリックを抱きかかえ、岸辺に向かい抜手を切って泳ぎつつあるオスカーの姿だった。

「…オ、オスカー…!フレデリック…!」
アルフレッドは声を枯らさんばかりに叫んだ。
直ぐに追いついたリヒャルトが、状況を察知して機敏な動きで岸辺へと回り込む。

オスカーはフレデリックを抱えながらも、見事な泳ぎで湖岸へと泳ぎ切った。
岸辺で待機していたリヒャルトが敏捷にオスカーからフレデリックを受け取り、草原に寝かせる。
リヒャルトは医者らしい確かな動作で、ぐったりしているフレデリックの胸部を手のひらで数回押し、素早く処置する。
途端にフレデリックはごほごほと咳こみながらも少量の水を吐き出し、意識を取り戻した。

ふらふらした足取りで、岸辺に近づいたアルフレッドはまずオスカーに取りすがる。
「…オスカー…オスカー…良かった…」
全身濡れ鼠のオスカーはしかし、穏やかな笑みを浮かべアルフレッドを安心させるように告げた。
「アルフレッド様、私は大丈夫です…」
「…良かった…良かった…」
涙をぽろぽろ零すアルフレッドをオスカーは優しく抱きしめる。
アルフレッドはフレデリックを振り返る。
そうして咳が止み一息ついたばかりのフレデリックに駆け寄り、思い切り抱きついた。
「フレデリック!フレデリック!良かった!君が生きていて…良かった!」
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