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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第2章 お茶会狂想曲
「…しかし君はソツがないねえ…」
トーマスが急いで設えた麻布の天幕の中のオスカーに、リヒャルトは憮然とした様子で声を掛ける。
「…わざわざ着替え一式、持って来ていたなんて…」
…濡れそぼり、寒さで震えるオスカーの服を優しく脱がせながら、自分の肌で温める夢を先ほど咄嗟に温めていたのに…!
リヒャルトはがっくりと肩を落とす。

「何をブツブツ言っているのですか?…ドクターアーレンベルグ。…大体なぜそんなところに張り付かれているのですか?…大変に邪魔です!」

ほどなくして、オスカーは出発した時と寸分違わぬ整然とした執事の制服で天幕から現れた。
しかし、濡れた髪はきちんと撫でつけられていたが、いつも彼を怜悧に隙なく…ある意味、とっつきにくく見せていた眼鏡がかけられてはいなかった。

リヒャルトは思わず目を輝かせた。
「…オスカー…君、眼鏡…」
オスカーは見えづらそうに碧の目を眇める。
「…湖に落としてしまいました。…さすがに眼鏡の替えは持ってきていなかったので…仕方がないですが、このまま過ごします」

リヒャルトはその美貌に目を奪われる。
…碧の瞳は普段より大きくきらきら輝いて見えた。
眼鏡を掛けていないオスカーは、年よりずっと若く見え…黒々と濡れた艶やかな髪とともに妖艶な色香すら放っていたのだ。

「…綺麗だ…オスカー…」
オスカーは、鋭い眼差しでリヒャルトを睨むと歩き出す。
…と、僅かな段差に気づかずに躓きそうになるオスカーを、リヒャルトはすかさず抱き止める。
「足場が悪いから、気をつけたまえ」
はっとリヒャルトを見上げると、眼鏡がない分だけ男の華やかに整っている貌が近くに感じ、オスカーは慌てて、腕を押しやる。
「…もう大丈夫です…。失礼いたしました」
照れたようにスタスタ歩き出そうとするオスカーを、リヒャルトはにやにや眺める。
「…手を引いて行ってやろう。また転ぶといけない」
オスカーはキッと振り返る。
「転んでいません!躓きそうになっただけです!」
そして、つんと顎を反らせるとアルフレッドやフレデリックの元に急ぎ足で歩いて行った。

リヒャルトは可笑しそうに笑う。
「…やれやれ…。眼鏡を外しても我が薔薇の精は気が強いことだな」
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