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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第2章 お茶会狂想曲
お茶会のテーブルに戻ると、トーマスが濡れてしまった二人の為に温かいココアを入れてくれていた。
アルフレッドはココアをフレデリックに運んだり、フレデリックのまだ濡れている髪を乾かそうとタオルを差し出したりと甲斐甲斐しく世話を焼いていた。

「フレデリック、ココアを飲みなよ。温まるよ?フレデリック、髪がまだ濡れているよ。僕が拭いてあげる!」
フレデリックはわざと邪険にアルフレッドの手を振りほどく。
「ああもう!ベタベタすんなよ!ちょっと!そんなにくっついたらココアが溢れるだろ!」
アルフレッドはにこにこ笑う。
「フレデリック、照れてる。可愛い!」
「…ばっ…!バカなこと言うなよな!」
「赤くなってる、可愛い!フレデリック!」
「うるさいうるさい!放っておいてくれよ、もう!」
フレデリックは子供のように喚き散らす。
アルフレッドはそんなフレデリックに嬉しそうに抱きつく。

オスカーは椅子に座り、ココアを飲みながら二人を慈愛に満ちた眼差しで見ていた。
隣にリヒャルトが無造作に座り、オスカーの肩に手を回す。
瞬間、手を振り払われるが全く気にせずに尋ねた。
「…湖水地方出身だと言ったね。どの辺りなの?」
「グラスミア湖の近くの村です。…緑豊かな美しい村ですよ」
オスカーの碧の瞳が翡翠湖を眺めながら懐かしげに輝く。
その美しさに暫し見惚れる。
…綺麗な碧の瞳だ…。
だが、どこかで見たことがあるような…。
「…グラスミアとウィルトシャーは随分離れているな。…どうやってソールズベリー伯爵家で働くことになったんだ?」
オスカーはふと遠い目をした。
「…昔、ソールズベリー伯爵家はグラスミアに別荘をお持ちで…村は伯爵家の方々とも交流があったのです。
…母が亡くなり、グラスミアに残るかロンドンに出て働くか迷っている時に牧師様が、伯爵家の執事見習いの仕事をご紹介下さったのです。…折しも伯爵家はあのタイタニックの事故で伯爵様ご夫妻が亡くなられたばかりでした。
アルフレッド坊っちゃまをお護りする若い男性の執事見習いが必要とされていたのです」
「…ふうん…なるほどね」
リヒャルトは頷いた。
…ナニーに抱かれて泣きじゃくる小さなアルフレッドと初めて会った日を思い出す。

…あのアルフレッド坊っちゃまが…。
今はあんなに恐れていた湖の側で笑っておられる…。
オスカーの胸は感動で熱くなる。
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