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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第2章 お茶会狂想曲
「え〜⁉︎今日の午後、ロンドンに帰る⁉︎」

翌日の朝食の席で、フレデリックはクリームティーを飲みながら澄ました顔で頷いた。
アルフレッドはトーストを放り出し、フレデリックの腕を揺すぶる。
「なんで?予定ではまだまだいられた筈じゃないか!今日は一緒に自転車に乗って、裏山に探検に行こうと思ってたのに!」
子供のようにむくれるアルフレッドに、フレデリックはわざと眉を顰めてみせる。
「この都会派の僕に探検ごっこかい?」
しゅんとしたアルフレッドの頭に優しく手を乗せる。
「…僕も残念だよ。…探検ごっこ、久しぶりにしてみたかった」

しみじみとした温かい声に、背後に控えていたオスカーは眼を見張る。
「…フレデリック…そんなに急に帰らなきゃならないの?何でさ?また帰って来る?」
矢継ぎ早に問いかけようとするアルフレッドに、それまで黙って二人のやりとりを聞いていたレディ・ギネヴィアは、静かに口を開いた。
「フレデリックはお母様とご一緒にアメリカに渡られることになったのですよ」
「アメリカ⁈なんで⁉︎」
目を丸くするアルフレッドに、フレデリックは大人びた仕草で、脚を組む。
「ようやく両親の離婚が成立した。僕は母の故郷のアメリカに行くことになったのさ」
さすがにアルフレッドは押し黙る。
…両親の離婚、父親はスコットランド貴族だが既に経済は破綻している…。
母親とアメリカに帰り…フレデリックはどうなるのだろう…。
…住む場所は?…学校は通えるのだろうか…。
アルフレッドが胸を痛めていると、フレデリックがにやりと笑った。
「…僕がまるで小公女のように貧乏生活を余儀なくされると心配しているのかい?」
「い、いや…そうじゃ…」
慌てて首を振るアルフレッドの鼻をつっつく。
「ご心配なく。母の実家は大銀行を経営している大富豪だ。ユダヤ系だからね。シカゴとロスアンゼルスとボストンとニューヨークに家がある。…ま、僕の学校のことがあるから暫くはボストンに住むんだけどね。…つまらないなあ…本当はニューヨークに行きたかったよ。だって刺激的だろう?」
「…へ?」
「僕が客船の三等室で惨めにアメリカに渡ると思っていたのかい?…勿論特別室さ。アメリカの祖母は僕を溺愛しているからね。早くアメリカに来いってうるさかったのなんのって…」
アルフレッドはほっとしつつ拍子抜けした。
「…なんだ…そうだったのか…」
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