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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第2章 お茶会狂想曲
フレデリックは、驚いたりほっとしたり呆然としたりと忙しいアルフレッドを見てにやりと笑いながらも、優しい兄のような眼差しをした。
「…遊びにおいでよ。アルフレッド。…もうbebeちゃんは卒業したから、船にも乗れるだろう?もちろんオスカーも連れてさ」
「…フレデリック…」
碧の澄んだ瞳を見開いて、フレデリックを見上げる。
フレデリックは唄うように続ける。
「ニューヨーク、ワシントン、サンフランシスコ、ロスアンゼルス…映画に演劇にジャズにファッション、政治に経済、様々な人種の坩堝の国!わくわくするような刺激が一杯さ。アメリカには叶わない夢はないって言われているんだ。…どう?楽しそうだろう?」
「…う、うん…!行ってみたい…!」
おずおずと頷いたアルフレッドの蜂蜜色の髪をくしゃくしゃと撫でる。
「決まりだ!…楽しみに待っているよ」
オスカーは思わず感極まり、白手袋で口を抑える。
「どうしたのさ?オスカー…」
怪訝そうな顔をするアルフレッドに、オスカーは努めて冷静な声を出そうとする。
「…失礼いたしました…。アルフレッド様が…船に乗ると…ご自分から言われるなんて…夢のようで…つい…」
「大袈裟だなあ…オスカー。僕だってもう子供じゃないのに…」
照れる余り、口を尖らすアルフレッドに、フレデリックは笑いながらも真摯な口調で言った。
「オスカーは君を誰よりも大切に思っているのさ。…君は確かに本当に幸せな子供だ」
そして、フレデリックはオスカーを見上げ、改まった表情で伝える。
「…オスカー・スペンサー。…昨日は助けてくれてありがとう」
オスカーは穏やかに笑い、首を振る。
「とんでもございません。ご無事で何よりでした」
「君もアルフレッドと一緒にアメリカに遊びに来てくれ。歓迎するよ」
フレデリックの素直な気持ちが胸に染み入る。
「ありがとうございます、フレデリック様」
フレデリックは敬意の眼差しで、向かいの席を見る。
「もちろんレディ・ギネヴィアも。母が大層喜びます」
レディ・ギネヴィアはその高貴な花にも似た面差しに微かな笑みを浮かべ、毅然として答えた。
「ありがとう、フレデリック。貴方のご好意には心から感謝するわ。…でも私はケチャップとピーナツバターと薄いコーヒーが大嫌いなの。私は英国で充分だわ」
アルフレッドとフレデリックは顔を見合わせて、くすくすと笑ったのだった。
「…遊びにおいでよ。アルフレッド。…もうbebeちゃんは卒業したから、船にも乗れるだろう?もちろんオスカーも連れてさ」
「…フレデリック…」
碧の澄んだ瞳を見開いて、フレデリックを見上げる。
フレデリックは唄うように続ける。
「ニューヨーク、ワシントン、サンフランシスコ、ロスアンゼルス…映画に演劇にジャズにファッション、政治に経済、様々な人種の坩堝の国!わくわくするような刺激が一杯さ。アメリカには叶わない夢はないって言われているんだ。…どう?楽しそうだろう?」
「…う、うん…!行ってみたい…!」
おずおずと頷いたアルフレッドの蜂蜜色の髪をくしゃくしゃと撫でる。
「決まりだ!…楽しみに待っているよ」
オスカーは思わず感極まり、白手袋で口を抑える。
「どうしたのさ?オスカー…」
怪訝そうな顔をするアルフレッドに、オスカーは努めて冷静な声を出そうとする。
「…失礼いたしました…。アルフレッド様が…船に乗ると…ご自分から言われるなんて…夢のようで…つい…」
「大袈裟だなあ…オスカー。僕だってもう子供じゃないのに…」
照れる余り、口を尖らすアルフレッドに、フレデリックは笑いながらも真摯な口調で言った。
「オスカーは君を誰よりも大切に思っているのさ。…君は確かに本当に幸せな子供だ」
そして、フレデリックはオスカーを見上げ、改まった表情で伝える。
「…オスカー・スペンサー。…昨日は助けてくれてありがとう」
オスカーは穏やかに笑い、首を振る。
「とんでもございません。ご無事で何よりでした」
「君もアルフレッドと一緒にアメリカに遊びに来てくれ。歓迎するよ」
フレデリックの素直な気持ちが胸に染み入る。
「ありがとうございます、フレデリック様」
フレデリックは敬意の眼差しで、向かいの席を見る。
「もちろんレディ・ギネヴィアも。母が大層喜びます」
レディ・ギネヴィアはその高貴な花にも似た面差しに微かな笑みを浮かべ、毅然として答えた。
「ありがとう、フレデリック。貴方のご好意には心から感謝するわ。…でも私はケチャップとピーナツバターと薄いコーヒーが大嫌いなの。私は英国で充分だわ」
アルフレッドとフレデリックは顔を見合わせて、くすくすと笑ったのだった。