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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第3章 ドクター・アーレンベルグの恋
翌日、邸内は慌ただしく来客を迎える準備を推し進めていた。
オスカーは使用人達に細かく指示を与えながら、庭園に出て、アフタヌーンティのテーブルを設置する場所を吟味していた。
「…日よけの白いリネンがもっといるな…それから白い薔薇を用意しなくては…」
背後から能天気な声が響き渡る。

「…なんだなんだ?私達の結婚式か?ガーデンパーティーの披露宴か。…いささか照れるが、君が望むなら構わないよ。白い衣装をロンドンから取り寄せなくてはならないけれどね…イテテッ!」
馴れ馴れしく肩に置かれたリヒャルトの手をオスカーは容赦なく抓る。
「…毎回毎回…どうして貴方はそう進歩がないのでしょうか」
オスカーは表情一つ変えずに、ちらりと眼鏡越しの碧の瞳でリヒャルトを見遣る。
「…その冷たい碧の瞳が堪らない!」
リヒャルトは身悶える。
「ご勝手に」
オスカーはもう相手にせず、スタスタと庭園の奥へと進む。
リヒャルトは懲りもせず、にこにこしながらオスカーの後をついて行く。

「随分と屋敷の中が賑やかだが、来客か?」
「はい。…明日、ロンドンから先代の伯爵様のお従兄弟がお見えになることになったのです。婚約者様も連れられて。…庭園の夏の花々も今が見頃ですから、アフタヌーンティはお庭でと思いまして…」
「へえ…。亡くなられた伯爵のお従兄弟ならかなりのお年の方ではないのか?」
オスカーは蔓薔薇のアーチの枝ぶりをチェックしつつ淡々と答える。
「いいえ、お従兄弟様は伯爵様とは20歳くらい離れておいでですから、まだ二十代半ば位のお若い方です。
…パリに留学をされていた大変に教養がお有りになる…そしてとてもハンサムな方ですよ…」
リヒャルトの目が輝く。
「へえ!」
「でもドクターはいらっしゃらないで下さいね!」
素早く釘をさす。
リヒャルトは口を子供のように尖らす。
「なんでだよ?私は坊ちゃまの主治医だぞ?
…お茶に招かれる権利はある!」
「…貴方が来るとロクなことが起こらないからですよ。…でも…仕方ないですね。…貴方は坊ちゃまの主治医ですからね…」
…こんな変人でもね…と小さく呟いたのを耳聡く聞きつけたリヒャルトは、オスカーの肩を蔓薔薇の茂みに押し付け、にやりと笑った。
「…全く減らず口の多い薔薇の精だ…。私の愛しの薔薇の精は…いつになったらこの麗しき唇で私に愛を語ってくれるのやら…」
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