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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第3章 ドクター・アーレンベルグの恋
お茶会は和やかに楽しく始まった。
夏とはいえ、ウィルトシャーは日差しが柔らかで日避けのリネンの下、爽やかな風が吹き抜ける。
夏の薔薇の薫りがその風に乗り、辺りに漂う。

子ども好きらしいアンドレアとセシリアはアルフレッドを大層可愛がってくれ、ロンドンの屋敷まで遊びに来るように誘ってくれた。
「…アルフレッドは本当に可愛いな。まるで天使みたいだ」
「本当ね。…ねえ、アルフレッド、私達の子どもにならない?」
セシリアが言った冗談に、アルフレッドはもじもじする。
そんなアルフレッドにアンドレアは美しい貌を綻ばせる。
「…ロンドンは便利だし刺激的だが、やはりカントリーハウスは良いね。気分が落ち着く…。…私の家は父の代でカントリーハウスを手放してしまったのだが…今はこのようなカントリーハウスを所有したいと本気で思っているよ」
アルフレッドは目を輝かせる。
「本当⁈ねえ、じゃあ、この近くにハワード卿が売りに出しているカントリーハウスがあるんだ。そこを買わない⁈そうしたらいつでも会えるよ!」
オスカーはアルフレッドの無作法を嗜める。
「アルフレッド様、そのように突飛な…」
アンドレアは手を挙げてオスカーを押しとどめる。
「構わないよ。ぜひ考えてみよう。セシリアも田舎が大好きだしね」
セシリアの手を優しく握るアンドレアは紳士そのものだ。
セシリアは幸せそうにアンドレアを見つめながら説明する。
「アンドレアはパリに留学していたのだけれど、最近は都会より田舎が好きよね。…ロンドンで法律事務所なんて開かなくてもいいのに…」
アルフレッドがプチケーキをパクつきながら、尋ねる。
「パリに留学していたの?」
「ああ…。二年ほどね」
「パリはどうだった?…僕の主治医もパリに留学していたんだよ。…すっごく変わり者だけどね。なんたって、ドクターなのに絵を習いに留学していたらしいんだ」
アンドレアの美しい眉が顰められる。
「…医師でパリに留学…?」

オスカーの背後から能天気な声が響き渡る。
「ご機嫌よう、皆様。…自己紹介より先に私の噂をしてくれて…ありがとう、坊っちゃま」
アルフレッドは肩を竦める。
「…やば…アーレンベルグ先生だ…」

アンドレアの背中が突然、緊張する。
彼はゆっくりと振り返る。
アンドレアの空色の瞳が見開かれる。
「…リチャード…」
リヒャルトの表情がいきなり凍りつく。
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