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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第3章 ドクター・アーレンベルグの恋
「…アンドレア…君が…なぜ…ここに…」
リヒャルトの尋常ならざる怖ばった表情を見て、オスカーはこれは只事ではないと思った。

…リチャード…?
アンドレア様は今、確かにアーレンベルグ先生のことをリチャードと言われた。
…リヒャルトではなく、英国読みのリチャードと…

「あら、アンドレア。…もしかして、お知り合いなの?」
セシリアがおっとりと尋ねる。
アンドレアは、美しい貌に懸命に笑みを浮かべる。
「…ああ、紹介しよう。…リチャード、本当に久しぶりだな」
アンドレアは立ち上がり、リヒャルトに手を差し出す。
リヒャルトは握手を受けながら、アンドレアを食い入るように見つめる。
「…久しぶりだ…。…三年ぶりか…。君は…元気そうだな…」
大好きなプチケーキに夢中のアルフレッドは全く気がつかないが、余裕のない態度も口調も全てがいつものリヒャルトではない。
オスカーは固唾を呑んで状況を見守る。

アンドレアが覚悟を決めたようにセシリアを促し、紹介する。
「…リチャード、紹介しよう。
…私の婚約者のレディ・セシリア・ハニーチャーチだ。…セシリア、彼は私のパリ時代の友人、リチャード・フォン・アーレンベルグ。…今は…アルフレッドの主治医だそうだ…」
リヒャルトはアンドレアをじっと見つめる。
そして、独り言のように呟く。
「…婚約者…そうか…なるほど…」
セシリアはにこにこと微笑みながら、レースの手袋に包まれた小さな手を差し出す。
「初めまして。ドクター・アーレンベルグ。…アンドレアのご友人に思いがけずにお会いできるなんて、光栄ですわ!」

リヒャルトは即席の飛び切りの笑顔を作り、セシリアの手を取り軽くキスをした。
「こちらこそ、奇跡のような再会に感激で胸が一杯ですよ。…アンドレアが婚約されていたなんて…正に晴天の霹靂です」
アンドレアはリヒャルトの言葉に眉を寄せる。
「…お美しい令嬢にお美しい青年貴族…。絵に描いたようなカップルだ。実にお似合いのお二人です」
端々に含みを持たせるリヒャルトの言葉に、アンドレアは耐えきれなくなったかのように貌を背け、椅子に戻ろうとする。

すかさず、リヒャルトが陽気な声を上げる。
「アンドレア、ぜひ君に祝福の品を差し上げたい。ちょうどドクターズバッグに入っているのだ。
…少し二人だけで話せないか?」
アンドレアはゆっくり振り返り、青ざめた貌で頷いた。
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