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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第3章 ドクター・アーレンベルグの恋
オスカーはリヒャルトとアンドレアを西翼の小客間に案内した。
ここならセシリア達がいる庭園から一番離れているからだ。

「ありがとう、オスカー」
礼を言うリヒャルトの貌にはいつものふざけた表情はひとつとしてなかった。
アンドレアもまた青ざめた貌のまま、リヒャルトの後に続き、部屋の中に入っていった。

「お茶も酒もいらない。…申し訳ないが暫くこの部屋には誰も近づかないように人払いをしてもらえないか?」
別人のように真顔なリヒャルトにオスカーは直ちに頷いた。
「かしこまりました。…それではごゆっくりお過ごしくださいませ」

オスカーは静かに扉を閉める。
…ドクターとアンドレア様との間に一体なにがあったのだろうか…。
普段は他人の詮索など毛筋ほどの興味もないオスカーなのに、妙に気にかかる。
後ろ髪を引かれる思いで、オスカーは小客間を後にした。
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