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坊ちゃまと執事 〜或いはキャンディボンボンの日々〜
第1章 かくも愛しき田園の一日
診察を終えたリヒャルト・フォン・アーレンベルグは小客間でメイドが運んで来た薫り高いダージリンを優雅に口に運ぶ。

春の午後の陽射しがリヒャルトのプラチナブロンドを更に輝かせ、その姿はさながらギリシャ神話のアポロンのようであった。
テーブルにお茶とスコーン、胡瓜のサンドイッチ、プチケーキをセットし終えた若いメイドは、ちらりとリヒャルトを見て顔を赤らめながら部屋を辞した。

アルフレッドの主治医、リヒャルト・フォン・アーレンベルグはオーストリアの貴族の子弟だ。
ベルリンで医学を修め…かと思えばパリに留学し、絵画を学び、そののちイギリスの片田舎、ソールズベリー家が治める領地ウィルトシャーの小さな村に診療所を開いた大変な変わり種である。
明るく華やかな容姿と確実な医術の腕、優しい人柄から村人はもとより、わざわざロンドンや他のカントリータウンの貴族の奥方がこぞって診察に訪れる人気者らしい。

年はオスカーより二つ上の三十歳。
前任のアルフレッドの主治医が高齢により引退を決め、彼が後任に推薦した若きドクターがリヒャルトだったのだ。
…だが、オスカーにとってリヒャルトはどうにも御し難い苦手な相手だった。

「…そんなしかつめらしい顔をするなよ、折角の美貌が台無しだ」
リヒャルトはオスカーの仏頂面を見てにやりと笑う。
「私はいつもこのような無愛想な顔です」
つんとそっぽを向くと、リヒャルトが澄ました顔で続ける。
「安心しろ。私はアルフレッド坊っちゃまには何の興味もない。…確かに坊っちゃまはナルキッソスもかくやというほどの美少年だが…私の趣味は…水も滴る美青年でね」
オスカーははっと振り返る。
音もなくリヒャルトが近くまで忍び寄っていたのに驚き、後ずさる。
リヒャルトはそんな彼を壁まで追いつめ、壁に両手をつく。
「…ちょっ…!何をなさるのですか…!」
リヒャルトは楽しそうに笑う。
「慌てる君も実にチャーミングだ。…ねえ、今日は何の日だか知っている?」
「…存じません」
リヒャルトはオスカーの形の良い顎を持ち上げる。
「…三年前、君と初めて出会った記念日さ」
「…はあ…」
リヒャルトは華やかな容貌に笑みを浮かべて、甘く囁く。
「覚えているかい?私が前任のグラント先生を訪ねたその日、村の教会の側で君とすれ違った…」
リヒャルトの蒼い瞳が夢見るようにうっとりと潤み始める。
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