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第2章 第一部【白桜記】　其の一・高嶺桜

　言葉遣いは大人びてはいるものの、物言いは舌足らずなのが微笑ましい。そんなおさとの方の表情を見て、典姫が頬を膨らませた。
「本当よ。お父上様がおっしゃったのだから、間違いないの」
　少しムキになったその様子さえ可愛らしくて、おさとの方は微笑まずにはおれない。幼い子といると、思うに任せぬ身の憂さも辛さも片時、忘れていられるようだ。