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蜜愛~男になった女~
第3章 【白桜記】 其の三・巡る想いは
「本当ですよ、お上手になられましたよ」
 もう一度言うと、典姫はさも嬉しげに笑った。晩春の陽が姫の屈託ない笑顔を照らしている。長閑な春の午後であった。
 その時、突如として部屋の襖の向こうから狼狽える女の声が聞こえた。
「お待ち下さりませ。只今はご来客中にて―」
 腰元のお美代の懸命に引き止めようとする声も空しく、襖が音を立てて開いた。
 刹那、信頼の端整な面に驚愕がひろがる。
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