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第3章 【白桜記】　其の三・巡る想いは

　信頼はゆるりと首を振った。
「おかしな話であろう。わしは腹立ちのあまり何人もの家臣を切り捨てた。そんな男が子を孕ませた女が死んだだけで、死の影に怯える」
　その言葉は随分と自嘲気味に響いた。
　おさとの方は控えめに言った。
「殿、それは大切なことにございます」
　信頼は以前として庭を見つめている。
　おさとの方は構わず続けた。