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蜜愛~男になった女~
第5章 第二部【こぼれ桜】 其の二 水面下の計略
本当にこうしていると、信頼に榎木聡一郎として仕えていた頃を思い出すようであった。あのまま榎木聡一郎として側近の立場にあれば、もしや信頼の良き相談役として共に手を携えて望月頼母排斥を目指していただろうか。
そんな埒もないことを考え、おさとの方は微苦笑を刻む。最早、どこにも榎木聡一郎は存在しない。信頼の近習であった青年は既に四年前亡くなったのだ。その代わりとして、信頼の側室おさとの方が誕生した―。