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第6章 第二部【こぼれ桜】　其の三　散る桜、咲く桜　

　これ以後、信頼は生まれや身分に拘らず、才能のある者は積極的に重用し、重要な役職にも抜擢した。有能であれば、取り立てて貰える―、このことは河北藩の藩士たちの心に明るい希望を抱かせた。誰もが皆、競うように勤めに励んだ。
　事後処理のすべてが片付いたせいか、信頼の表情は少しずつ明るさを取り戻している。事件のあった直後は随分と落ち込んでいたようで、おさとの方は案じていたのだ。