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蜜愛~男になった女~
第7章 番外編【櫻の系譜・壱~雪時雨(ゆきしぐれ)~】
だが、諦めたつもりでも、時折、あの信頼の美しい貌(かお)が、冷たさを宿した眼(まなこ)がふっと頭の中をよぎる。
どうして、あのような蛇のような眼をした男が気になるのか―、長儀子自身にもよく判らなかった。琴路などはしょっ中、信頼の不実を詰っているが、深窓育ちの長儀子には男女の情も機微も判らず、従って嫉妬というものさえ知らなかった。その点、二歳下とはいえ、多くの側妾を持ち既に結婚前に姫まで用意した信頼の手回しの良さからすれば、彼の方がよほど大人であったろう。
どうして、あのような蛇のような眼をした男が気になるのか―、長儀子自身にもよく判らなかった。琴路などはしょっ中、信頼の不実を詰っているが、深窓育ちの長儀子には男女の情も機微も判らず、従って嫉妬というものさえ知らなかった。その点、二歳下とはいえ、多くの側妾を持ち既に結婚前に姫まで用意した信頼の手回しの良さからすれば、彼の方がよほど大人であったろう。