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蜜愛~男になった女~
第8章 番外編【櫻の系譜・壱~雪時雨(ゆきしぐれ)~】 弐
信頼はふと思いついたような顔で言った風を装ってはいたが、蒼ざめた長儀子を見つめるその眼は長儀子の反応を確かめるように窺い、応えを待っていた。酷薄そうな表情に暗い微笑を浮かべるその様子は、獲物をなぶり、いたぶる獣のような残忍さが潜んでいる。
「話はそれだけだ」
信頼はそっけなく言うと、後は長儀子の方を見ようともせず歩き去っていった。
長儀子は溢れる涙を拭おうともせず、その場に立ち尽くしていた。