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カクテル好きの男たち
第8章 作業療法士の女

それ以来、秀一は前にも増して
トレーニングに励んだ。

遥も秀一に気があるのか
他の患者をそっちのけで
秀一がセンターを訪問すると
マンツーマンのようにべったりと横にくっついた。

「秀一さんはモテモテねえ」

隣のマットで股関節矯正をしている
還暦過ぎの初老の婦人が冷やかし半分で声をかけた

「秀一さんは遥先生のお気に入りですからね」

婦人の股関節を伸ばすために
内ももを押さえつけながら若い理学療法士も
同じように冷やかしてくる。

そんな外野の声など聞こえないとばかりに
遥は秀一の肘におっぱいを押し付けて
「野次になんか負けないで頑張りましょうよ」と
秀一を励ました。

「いいわねえ…若いって…」

「僕はもう40過ぎのおじさんですよ
もう10歳若けりゃ
遥さんをくどくんですけどねぇ」

外野の野次には耳を貸すなと言われたが
遥と仲睦まじいところをアピールしたくて
秀一はついつい野次に乗ってしまっていた。

「はいはい、京子さんも野次を飛ばさずに
自分の事に集中しましょうね」

若い理学療法士に、
股間のかなり際どいところを押さえられて
恥ずかしいのか痛いのか
京子と呼ばれた婦人は顔を赤らめながら
「ちょっと、そんなに押さえないでよ」と
やけに艶っぽい声で理学療法士を叱った。

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