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凍てつく湖
第2章 ブラックボックス
 
「で、浜ちゃん。その話はどこまで信じていいんだ?」
ニ階にある狭いモニター室。一応、チーフディレクター楠木はディレクター浜ちゃんこと浜辺に確認した。
「そんな事は知らん。ただ身分はしっかりしているぞ。どこぞの印刷会社の会長さんだ。森本と山岸は以前に福祉云々のニュース関係で取材しているからこれは間違いない」
楠木と同い年で同期の浜辺は ほら!と、スマホでその渡辺印刷のホームページを見せた。現在では印刷以外にも様々な業種に手を広めている渡辺グループ。現社長は息子 渡辺浩だ。
「福祉?要は身体が恵まれない人か?」
「あぁ、、他にも環境とかな。それは多種多様様々だ」
「ふーん。さっきちらっと爺さんを見たが確かにそんな感じだな。で、そのニュースは放送されたんだよな」
「もちろん。まっ、そこそこ反響はあったらしい。俺もさっき映像を見たが、、恵まれない者同士を敢えて絡ませているんだよ。要はお互いに補うという関係性を作るんだな。いやぁ、これはなかなか出来る事じゃないぞ」
浜辺は心底感心している。
「、、だな。失敗したらそれこそ手のひら返しの袋叩きだ。で、まさか、、その福祉に関連した殺人か?」
「いや、それは違うんじゃないか?と。映像を見れば分かるが渡辺三郎はそんな訳あり連中に社長さん 社長さん、と、とにかく好かれているよ。あの目に嘘はないと俺は思いたいし、山脇も森本も同じ事を言っていた」
「そうか。森本はともかく、山脇なら間違いな、、のかな?」
職業柄か、カメラマンという人物はとかくファインダー越しに人間の本質を見抜くと業界では言われている。ベテラン山脇も例外ではない。
「、、にしても殺人(コロシ)ね」
楠木は改めて確認する。
「あぁ、殺人、人殺しだ。未解決か、冤罪か、まだ世に出てない事件か。いずれにせよ厄介だな。爺さんは何を聞いても今は話せないの一点張りだ」
「ふーん。で、今日は何のタイミングだよ。まさか昨日時効になったなんて事はないよな」
「さぁな。それを含めて全て話すらしい。ひょっとしたらとんでもないスクープかも知れん」
「、、あるいはお蔵入り、、か」
腕を組んだ楠木はその現実に唸るしかない。
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