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凍てつく湖
第2章 ブラックボックス
「準備OKです」
絢は浜辺に連絡すると、スタジオの準備も整ったとの事。絢は冷蔵庫を開けてまだ未開封のペットボトルを探していた。離れた場所で渡辺三郎は腕を組み天井を睨んでいる。
( 殺人か、、)
改めて思う。人は見かけでは判断出来ない。もちろん事実ならば、の話だが与太話をする類にはそれ以上に見えない。
「渡辺さん。準備が出来ました」
「承知しました。すみませんね。突然」
「いえ。今からスタジオにご案内致します。あっ、これ喉が渇くでしょうから、、どうぞ」
絢は探し当てたペットボトルを渡す。
「ありがとう」
渡辺は笑う。
( あっ!)
その差し出した右手が分かりやすく震えて二人の視線が重なる。
「、、確かに緊張しますよね」
変わらず笑顔の渡辺は何も答えず、新しいシワの数を増やし大きく深呼吸をした。

 パイプ椅子が二つ用意されたブラックボックスにはスーツ姿の楠木と山脇カメラマンがその登場を待っていた。
固定カメラが一台のみで失敗は許されない。これも(ならでは)だ。
「で、山ちゃんはどう思うんだい?」
「さっきも浜辺さんに聞かれましたが、、やっぱり見えないですね。殺人にしても茶番だとしても。感じがいい昔ながらの社長にしか見えない。それは今この瞬間も変わりませんよ」
「そうか、、」
「まっ、今は考えても仕方ないですよ」
「だな。考えるのは終わってからで構わないよな」
「ええ」

「渡辺さん入ります!」
絢の声が狭いブラックボックスに響いた。楠木はその姿を改めて凝視する
( 、、小柄だな)

「お世話になります。あっ、山脇さん、この間は素敵な映像をありがとうございました」
渡辺は両手を前に出し丁寧に頭を下げた。
「いえ。こちらこそありがとうございました」
「はじめまして。進行役の楠木と言います」
渡辺はニッコリと笑い再び一礼する。
「存じ上げています。いくつかのドキュメンタリー拝聴致しました。不謹慎かも知れませんが非常に面白かったです」
「不謹慎、、ですか?」
楠木は挑戦的に笑う。
「根本は人様の不幸ですから」
「同時にそれは甘い蜜でもある、という事の証明ですかね?」
スイッチが入った。
「かも知れません」
渡辺は流れに任せるように答えた。
「それで今日は何故私をご指名頂いたのでしょうか?」
「それも含めてお話しますよ」
( つまり何か意味があるのか?)
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