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眩惑のディナーショー
第4章 三人目の御客様…どうぞ
「タクシーです。御迎えに上がりました」
「ちょっ…」
お洒落する暇もない──
snowは仕方なく諦めて迎えのタクシーに駆け込んだ。
到着したホテルの最上階へと向かいsnowは部屋の扉を開けて肩で息をする。
「何かに追われでもしたか?」
目の前にいたアサドは走ってきたようなsnowの様子に驚きながら肩を竦めて笑っていた。
「もう今日は逢えないって思ったっ…」
「どうして」
くしゃりと顔を歪めたsnowにアサドは小さく驚き尋ね返す。
「だってっ…忙しいって…」
「………」
涙をぽろぽろ溢すsnowにアサドは開いた目を緩ませる。
アサドは泣いているsnowをそっと抱き締めた。
「忙しいとは言ったが逢えないとは一言も言ってない筈だ……」
「………」
そう言われてみれば…
snowはアサドの腕の中でふと思い顔を上げる。アサドはsnowの濡れた頬を笑いながら指で拭った。
「忙しいのは確かだ、だからすまないが支度がちょっと手抜きになった」
肩を竦めながら飾らぬ普段着で迎えてくれたアサドに何故かホッとした。自分の仕事帰りの出で立ちとなんら差のない姿でアサドはsnowにテーブルの椅子を進めてくる。
優しく手を取りエスコートしてくれるアサドはスーツを着ていなくてもカッコ良くて紳士だ。