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眩惑のディナーショー
第2章 一人目の御客様…どうぞ
「痛っ…たあ…っ…もう言うの遅いぃ…」

舌先を少しばかり噛んだようだった。顔を歪めて涙ぐむすずをミラーで覗き、アサドは飛行機を下降させる。

近くの小さな島に降りたって、エンジンを止めると立ち上がったアサドは後ろを向いてすずに腕を伸ばした。

「すまなかった、見てやるから……」


そう言ってアサドの精悍な顔が口の中を覗き込む。そして顎を摘まれて見せた舌先にふいに濡れた温かな感触を感じていた。

「……っ!?…」

「切れたのはちょっとだ。舐めたらすぐ治る……」

「……っ…」

顔を離したアサドの目がそう言って不敵に笑う。

何が起こったのか理解できず放心状態だったすずの顔は次第に真っ赤に染まっていった──

それに構わずアサドは着陸した周りを見渡すと飛行機から飛び降りてすずに腕を伸ばした。

「…あ…あのっ…」

戸惑うすずにアサドはもう一度声を掛ける。

「おいで…すず…」


「……っ…お、重いからいいですっ」

「……重い?100キロあるか?」

「いやっそんな……」

「なら大丈夫だ。100キロまでの土嚢なら訓練で持ち上げてる──」

「土嚢っ…」

目を開くすずにアサドはからかうような笑みを向け、ほらっと催促しながら腕を差し出す。

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