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眩惑のディナーショー
第13章 福袋 [松]
「菜々さん…」

夏希が頭上から呼ぶ。

「ただいまのキスは?」

「さっきしたでしょ?」

「さっきのは“おかえり”のちゅう」

「………」

「今度はただいまのキスをして……」

「………」

そう言って夏希はまたおでこを菜々の額に擦り付ける。

「いっぱいして……」

口調は甘えながらも見つめてくる瞳は何気に色っぽく、そしてせがんでくる。

「もうっ、そう言って夏希ちゃんはキスだけじゃ終わんないでしょいつも……」

「うん、終わんない…だって今から始めるつもりだし……」

そういいながら夏希は唇を菜々に近付ける。

「……んっ…」

柔らかそうな唇がゆっくり開き、夏希の唇が菜々の下唇をゆっくり食んでいた。

「菜々さんおかえり……」

「……っ…うん、ただいま…」

軽く食みながら吸い付く音が何度も響き熱い呼吸が布団の中に籠る。

「仕事忙しかった…」

「……ん…っ…」

「そか、…お疲れさま…」

「……うん……」

聞きながらキスは何度も繰り返され、夏希は菜々を抱き締めると菜々の後頭部と背中をあやすように、よしよしと優しく撫でていた。

暖かな温もりに癒される──

今日も一日、頑張った甲斐があった…

年下で甘えん坊なのに何故かホッとするこの包容感──

まるでサプリメントのような存在は一日の疲れを容易く解してくれていた。

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