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第5章 出生

「俺を欺けると思ったか？」


胸ぐらを掴み凄んでいる事だけはわかっているのだが、熱のせいで朦朧としている和穏の耳には聞こえて来なかった。


「……私……捨て……られた……の、私の……せいで……」


こんな事、この人に話したってどうにもならないのに、聞いてくれる人なんてどこにもいないし、信じてた政安君が原因だったなんて……もう誰も信じられない。

お父さんもお母さんも海だって血の繋がりのない偽の家族で、おばさんである政安君のお母さんにも、従兄弟である政安君にも嵌められたんだから。


「みんな……不幸にした……から……」


生きていたくない。
絶対死ぬもんかと思っていたのに、私を育ててくれた家族を壊したのが私の出生だったなんて、産まれて来なければ良かった。