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神様のいない世界
第1章 運命
この車の中で自分に危害が加えられない事は、相田の言葉と善の言い方で感じているが、だからと言って、いきなり拉致られた和穏が安心出来るはずも無い。


ついた先で何が待っているのかもわからない。


気を失っていた分、どれだけの時間が過ぎたかも分からなければ、ずっと流れている洋楽も聞いた事ともなく、一曲の長さすら分からない。


聴覚だけ……そう言えば、全然止りもしなければ曲がってない。


高速乗ってる?!


怖くて興奮していて、どくどくと心音が耳に響いてくる。

自分の居場所がわかる様に、聞き耳を立てようとするのに、自分で自分の邪魔をしていた。


それなのに、暫くしてから聞いた音は『ピピッ』というアラームオンだけで、料金音声設定さえもしていなかったのかと気落ちしたのは言うまでもない。

それでも、何曲も何曲もかかっているのを聞いて入りと随分と遠くまで来たのだろうと推測は出来ていた。

何一つと持っていない、一文無しの自分が逃げ出した所で帰れる距離でも無い事も察していたのだった。
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