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神様のいない世界
第8章 贈り物
『好き』だの『愛してる』という女性に同じように返してベッドに誘う、その手段の一つと思っていた宗高は、好みの相手を口説く言葉の一つとしか考えてもみなかったのだ。

だがここに来て和隠と出会い、感情として思ったのは初めてだった。

まさかの初恋なのだ。

自分も組を継ぐと考えていたし、実際その流れになっている。本妻は組をまとめるのに適した女性を選び、父親や宮川のように数人の愛人を持つのだろうと、幼い頃から冷めた考えを持っていたのだ。

恵まれた容姿の上、組長の嫡男である宗高に言い寄る女は大勢いたので、それを疑うこともなかったのだ。


ドアの開く音に振り返ると、和隠が風呂上がりで首を傾げていた。


「暑くないんですか?せっかくお風呂入ったのに汗かいちゃいますよ?」
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