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神様のいない世界
第8章 贈り物
「話したいことはそれだけか?他にはないのか?」

「うん……あ、あと欲しいものが」


思い出したように和隠が言い出すと、宗高は少し表情を曇らせた。ベッドでの女のおねだりはよく耳にしていた。

たかが一度寝たくらいで「あれが欲しい、これが欲しい」と言う女は多いのだ。

ヤクザの愛人になりたがる理由が高価なものを買ってもらえると思ってベッドでそう話すのだが、宗高は一度として囲う気もなかったので手切れ金代わりのように舎弟を使って渡したりしていた。


「……何だ?言ってみろ」

「スリッパ」

「は?」

「スリッパが欲しいの、今裸足で部屋歩いてるし。だから部屋用とベランダ用が欲しい!」

「そんなの善に言えばいいだろ?」

「……買って貰っていいの?私用のだよ?」


ここが私の居場所と思っていいの?

そういう意味で聞く和隠だったが、宗高は和隠が身につけるものは宗高に買ってもらいたいと言っているように聞こえた。


「明日買ってやるから、それでいいか?」

「うん……ありがとう」


ホッとした和隠が笑みを浮かべてた。
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