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神様のいない世界
第9章 新事実
和隠の張りさせそうな声に後ろ髪を引かれつつ宗高と三浦はマンションを後にした。


和隠はそのあと脱力してその場に崩れるように座り込むと、善も和隠を掴んでいた手を離した。


「今は、お前を外には出せないんだよ、わかってくれ」


善が宥めるように和隠に言い聞かすのだが、必死の願いも聞き入れられない現状に和隠が聞き入れられるわけがない。


「帰って来てから話を聞けばいいだろ?」

「……もういい」

「和隠、ヘソ曲げんなよ、ガキじゃねぇんだから」

「黙れ」


消えそうな声で言う和隠に苦笑する善だったが、和隠の気持ちがわからないわけではない。
知りたくもないことを聞かされてここにいる和隠が、本当の事を知りたいと訴えるのは、監視役で過ごす日中に何度もボソッと尋ねてくる『本当の親』『沢口』の事だったのだ。

善自身も知っていることは話していたが、実際それが本当のことなのかも当てにはならない。

それを今から聞きに行こうというのだから、和隠が必死になるのも分かるのだ。
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