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神様のいない世界
第9章 新事実
和隠は唇を噛み締め、立ち上がるとテーブルにあるテキストに向かった。

ポタポタと落ちる悔し涙で視界が歪みながらも、和隠自身が気を紛らわす方法がそれしか無かったのだ。


「……コーヒーでも飲むか?」


気を利かせた善が和隠に話しかけるものの、ひたすら無視を決め込んだ和隠に困惑しながらも、善は和隠の分のコーヒーを注いで手元に置いた。


「……なぁ和隠、今はさぁ無理なんだって、若頭から聞けばいいだろ?」


善がため息交じりに話し出すと、和隠は大きく音を立ててテキストを閉じた。


今は?
ずっとダメじゃん!!
学校だってこのままじゃ新学期始まっても行けそうにないし。
お母さんや海の事だってあのままどこにいるのかもわからないんでしょ?


善を睨む和隠は立ち上がり、リビングを出ようとすると善に腕を掴まれた。


「どこに行く気だ?マンションからは絶対に出させないからな?」
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