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第9章 新事実

『マンションに女を囲っている』
そう推測されてもおかしくは無い。

現に善は日中、マンションから出ないし、食材を買って来させたりもしている。

宗高の父親である組長には、宮川から何らかの報告が入っているから『家に戻れ』とも言われない。

女遊びをパタリとやめ、飲みに外にも出ていないのだ。
一日おきとは言わず、週に一二回はキャバクラにでも顔を出しておけばよかったと後悔をしつつも、和隠の手料理はそれなりに美味しく、『おかえりなさい』と笑顔で言われると思うと帰りたくて仕方がなくなるのだ。


「惚れるって、苦悩だな」

「……そういうものですよ？……それでも、宗高さんの場合は、苦悩というより心配だと思いますよ？普通は手に入れるまでに時間がかかるものですが、既に手中にあった相手なんですから」

「……手中ね？」

「えぇ、未だ手中ですから、帰ったら優しくしてあげてください」