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神様のいない世界
第9章 新事実
「っ離して!!自分で歩けるわよ、ここまで来たんだから逃げるわけないでしょう?」


声を張り上げた政安の母親が相田に連れて来られ、宗高の前に姿を見せると、さっきまでの威勢は消えた。

それは宗高の鋭い視線が宗高の父である山城宗安に似ていたからだ。


「初めまして、ですね?大場幸江さん」


宗高の声まで似ていて、幸江はから笑をした。

政安がお腹に出来た事を知らせたらさっさと捨てられ、それから会ってもいない相手。それでも幸江にとっては愛した人であり、今でも心にいる相手なのだ。


「あなたは組長にそっくりね?その、血の通ってないような冷たい目も全部」


憎まれ口を叩かずにいられない。

自分の子を妊娠した女を簡単に捨て、我が子を堕ろせと言い放った宗安には既に息子である宗高がいたのだ。

愛されなかった自分と、抱き上げてももらえず一人で育てた政安は、この宗高がいたせいだと思うのだ。
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