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神様のいない世界
第9章 新事実
死ぬ気だった。
死にたいと思った。

だけど刃物はないし、鏡を歯ブラシで叩き割ろうとしたがそれも叶わず、握っていた手が痛くなって冷静になった。


痛いから辞めるって、自殺なんか出来っこないじゃん!


自分を笑う和隠は浴槽に水をため、そこに入った。冷たくて気持ち良かったが段々寒くなってきて震え出すと脳裏に『低体温症』と浮かび、そのまま目を瞑って我慢をして、いつの間にか気を失っていた。


宗高はスーツをビショビショにしながら和隠を抱きかかえ、入り口で善が腰を抜かしていて、三浦が携帯を握りしめていて、それを見た和隠は一応心配はしてくれたんだと他人事のように思っていた。

確かめたくてしたわけではない。

本気で嫌になったのだ。


山根和隠という人の人生に。
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