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神様のいない世界
第9章 新事実
「……っ、わかったから辞めろ。お前が聞きたくなるまで言わねぇから、な?やめろって」


宗高が毛布をずらして和隠の顔を覗き込むと、和隠は唇を強く噛み締めて涙を堪えていた。

それが痛々しく思えた宗高は、あまりにも強く噛んで血が出て来たそこを優しく指で拭った。


「血が出てるぞ?」


だが、和隠はまたもや手を振り払って毛布を被ったのだ。

三浦はため息をついてコーヒーを入れ、宗高もお手上げ状態で苦笑しながらコーヒーを飲み、善はそれをただリビングの隅で見ていた。

楽しそうにしていた数時間前はもう戻らない気がしていたのだ。

情緒不安定で、これはどう見ても自殺未遂。

宗高と三浦はあまり気にしないように振舞っているが、誰よりも長く時間を過ごし、話をしていることの多い善は、和隠の気持ちを汲み取ってあげられなかった事を悔いているのだ。
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