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神様のいない世界
第9章 新事実
震えて泣く和隠をあやすようにさすっては頭にキスを落とす宗高は、和隠の心の中での葛藤が伝わっていた。

宗高にも芽生えた和隠への気持ちは、和隠が自分の気持ちを口にするまで伝えないつもりでいる。

促すのではなく心を開いてもらいたいからだ。
二度と自らの命を軽んじないように。


突然拉致られてマンションに軟禁状態にさせられて、家族の行方も知らずにいるのだから、和隠が不安で情緒不安定になるのは当たり前なのだ。


このまま閉じ込めておけば、和隠が頼る者は自分しかいなくなる。それでいいと思う気持ちもあるのだが、家族が現れても自分の元から逃げない和隠が欲しいのだ。


「大丈夫だ、お前を手放さないから安心しろ」


宗高はそう言って和隠を寝室に連れて行き、ベッドに寝かせた。スーツを脱ぎ捨てた宗高を見上げる和隠の視線に気づき視線を落とした。


「どうした?」
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