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神様のいない世界
第10章 事件
「和隠?」


宗高のその声に『好き』と言いたくなる言葉を飲み込み見上げると、切なそうな和隠の表情を見た宗高が口角を上げた。


「盛るなよ?三浦は仕事に行ったが善は居るぞ?」


意地悪そうに言った宗高からゆっくりと腕を外すと、宗高はベッドから降り、クローゼットから着替えをとって着替え始めた。


「着ろ」


和隠に投げられた下着と、宗高の黒いシャツを手に取ってまじまじと見入っていると、宗高に鼻で笑われた。


「着たら出て来い」

「下は?」

「ハーパンなんて持ってないからな、俺のパンツを履いたら時代劇みたいに引きずって歩く事になるぞ?」


そう言って出て行った。


私、そんなに脚短くないんですけど。


拗ねた和隠はそう思いながら着替えた。

実際、宗高は180cmはある長身で、和隠は160cmにも満たない。スボンを履いても引きずる程ではないが、十分太ももまで隠れるほどのシャツだった。
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