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神様のいない世界
第10章 事件
和隠がその姿でリビングに入ると、善は少し気恥ずかしそうにするので、和隠もつられて照れ笑いをした。

それを見た宗高は、ソファーに座りながら満足そうに微笑んでTVを見ていた。


「ご飯作るね!」


さっとキッチンに隠れるように支度を始めると、善は宗高に呼ばれ一緒にTVを見始めた。


なんだか複雑な環境なのに妙に落ち着くし、ちょっとだけ楽しく感じたりもする。

食事中も、これと言って話をするわけでもないのに、気まずいとも思わない。


慣れって怖いと思う和隠は苦笑して、食事の後テキストを開いて宿題をする。

本当にのんびりと過ごす宗高は、真剣にテーブルに向かう和隠を見て、元の生活に戻る準備を怠らないのだろうと思っていた。
望むならそうしてあげて喜ぶ顔が見たいのだが、手放す気はなく、複雑な心境だった。

また善は、時々微笑んで和隠を見る宗高が和隠を大切に思っていることを再確認させられ、昨日の失態を悔いていたのだ。
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