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神様のいない世界
第10章 事件
即答した和隠は宗高を見ずに返事をした。


「じゃ、俺の独り言になるな」


そう笑う宗高の口を抑えようと手を伸ばすが、簡単に掴まれて覆うことも出来なかった。


「和隠が嫌だと言うならそうしたいが、素直になれなくてそう言ってるんなら考え直せ」

「聞きたい時に聞かせてくれなかったのはそっちじゃん!!」

「本当に聞かないつもりなんだな?」


宗高に真っ直ぐ見つめられると和隠の目が左右に揺れる。

迷っている。
聞かないとずっと全てを疑ってばかりになるし、かと言ってこれから宗高が話す言葉が自分にとって最悪の結果なのかもしれない。

そう思うと和隠は身動きが取れなくなるのだ。


「なら、これだけは聞いて置け。お前の本当の母親の名前」

「聞きたくない」

「今、お前の育ての親を探している」


和隠は目を見開いて宗高を見た。

今更、探す意味があるのだろうか。
そう思った和隠はその次の宗高の言葉を待っていた。
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