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神様のいない世界
第10章 事件
和隠の表情は強張るが、宗高は至って平常だった。

人が刺された事も、狙われることも多いわけではないが、それなりに経験もあるし、動揺するほどのことでもない。

そんな宗高を横目で見て和隠は俯いた。


守ってやるから安心しろとは言わないんだね?


少し和隠は寂しく思うものの、そんなものかと諦めもある。宗高からすれば言う必要のない言葉だった。現にマンションから出さないという事実が和隠を守っていたのだから。


「……すごい血が出てたけど、大丈夫かな?」

「意識はしっかりしてたから大丈夫だろう。血が足りないならお前が飯を作ってやればいいだろ?」


宗高の言葉に顔を上げた和隠は、大きく頷いた。


「早く治るように鉄分多い料理作るね」

「そうしてやれ」


大きな目を輝かせた和隠を見た宗高は、軽く笑って和隠の頭に手を置いた。
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