この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
神様のいない世界
第10章 事件
『その節は』
その言葉が気になったのだ。
真面目そうに見えた榊が、ヤクザにお礼をする何かがあったのかと。
実は榊には兄がいて、その兄が薬物の密売人をしていて、警察から指名手配をされ複数のヤクザに追われていたところ、宗高の父である組長に捕まったのだ。
命の危険があったため、捕まった当初は死を覚悟したらしいが、薬物の取り扱いはしないという組の方針がある山城組は、その入手先を持って出頭しろと、警察署まで同行したというのだ。
大学病院に勤務していた榊は、兄の不祥事でそのまま務めることも出来ず、転職すら出来ない状況の中で途方に暮れていたところに組長がやって来て、高井戸を紹介したのだ。
「組長さんって義理堅いんだね?」
和隠がそう言うと善は笑った。
その言葉が気になったのだ。
真面目そうに見えた榊が、ヤクザにお礼をする何かがあったのかと。
実は榊には兄がいて、その兄が薬物の密売人をしていて、警察から指名手配をされ複数のヤクザに追われていたところ、宗高の父である組長に捕まったのだ。
命の危険があったため、捕まった当初は死を覚悟したらしいが、薬物の取り扱いはしないという組の方針がある山城組は、その入手先を持って出頭しろと、警察署まで同行したというのだ。
大学病院に勤務していた榊は、兄の不祥事でそのまま務めることも出来ず、転職すら出来ない状況の中で途方に暮れていたところに組長がやって来て、高井戸を紹介したのだ。
「組長さんって義理堅いんだね?」
和隠がそう言うと善は笑った。