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神様のいない世界
第10章 事件
沢口組?


和隠の表情から血の気が引いた。

自分の父親であろう人が私を狙ってる事に恐怖を感じたのだ。これが極道の世界なのだ。


「自分の身を守るためにも、お前の母親の名前は覚えておけ。後のことは聞く準備が出来てからでもいいから」

「うん」


和隠は宗高の疲れきった状態を目の当たりにしてそう返事をした。
その返事に宗高は腕を外し寝転がりながら和隠を見た。


「大場咲江」

「大場……咲江」


復唱した和隠は宗高を見た。


「その人、今どうしてるの?」

「行方不明」

「……そう……なんだ……」


育てのお母さんも海も、実の母親も行方不明なんだ……。


「行方不明というより、安否確認が出来ていない。お前を山根に預けて直ぐに拉致られたらしい」

「拉致?!」

「沢口に見つかったんだ」

「……沢口……」


また沢口、
切っても切り離せない沢口が、どこまででも追って来そうで怖くなる。
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