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第1章 運命

震える手を伸ばしてその紙を取り、尋常じゃなく震えるそれを抑えようと、もう片方の手で抑えるものの、余計に震えて冷静ではいられない。

目には涙が溜まり視界がぼやけるものの、その紙に書かれている内容は読めたのだ。


『ごめんなさい』


たった一行書かれた謝罪の文字のみ。


なんで？
なんで私だけ置いて行くの？

膝から崩れ落ちた和穏は、某然と座り込んだまま脱力していた。


何かの間違いであって欲しい。


そう思うものの、荷物が消えたこの家の中にいれば、嫌でも事実として押し寄せてくる。


「っ海のは？！」


四つん這いで海のタンスを開ければ、わずかな期待も砕かれる。