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神様のいない世界
第1章 運命
その状況で置いていかれては、八方塞がりなのだ。

外は日も落ち、部屋も暗くなる。


はぁ、こうしてても仕方ない。警察に行こう……捜索願か失踪届けか何か出して、取り敢えず相談しなきゃ。


泣き続けてぼーっとした頭を横に振り、頼るものがないなら自分がしっかりしなければと奮い立たせたのだ。

電気もつけて居なかった部屋は、カーテンも閉めておらず、月明かりが差し込んでいた。

ゆっくりと立ち上がり、玄関に向かい靴を履くと、泣き止んだはずの涙がこぼれた。

所々にある、今朝まで居た家族の形跡に、哀しみだけが込み上げて視界を歪ませるのだ。


「……ふぅっぐ、っく……ふぅ…っく……」


行って来ますって海と出て行った後に、お母さんは出て行く用意をしたの?
なんで私だけ一緒じゃダメだったの?


涙を拭って立ち上がると、ドアの前に人影が出来ていた。


「っお母さん?!」


やっぱり置いていけなかったって、もどって来てくれた?!


ドアを勢い良く開ければ、その影は見知らぬ男の人だった。


「っいー……」

「ご……ごめんなさい」


勢い良く開けたドアを、思いっきりぶつけたのだ。

目の前の男の人は、後ろに下がって避け切ったのだが、その横に居た人はよけられなかったらしく、和穏がドアを引き戻して覗き見ると、腕をさすっていた。
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