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一度きり
第1章  
その後、彼女とは3ヶ月くらい続いたでしょうか。
彼女とは、いつしか、逢ってはセックスをするだけの間柄になってしいました。
する場所は、私の車の中かホテルでした。
私は彼女とは、そんな“間柄”だと思っていました。

彼女と別れる少し前のことです。
妻の妊娠と、私の父親の癌が発覚しました。
私としては、彼女とこれ以上付き合えない状況になりました。
でも彼女は、頑として私の申し出を聞き入れませんでした。
「別れたくない。迷惑にならないようにするから、洋平君のことが好きなの、お願いこのままでいて……」
彼女は何度も「別れたくない」を口にしました。
彼女は私と違う想いを抱いていたのかもしれません。

でも、やはり逢う頻度が減り、逢っても会話は少なくなりました。
あれは彼女との最後の日でした。
そのときは最後になるとは思っていませんでした。

私の車の後部座席でした。
二人とも下半身だけ裸になって窮屈な体勢で、私が上になって、動いていました。
そのときは、コンドームもなく、私はその日は“いかない”つもりでした。
そろそろ“昇って”きたとき、私は動きを止め、彼女から抜こうとしました。
「今日はもう帰ろう。今日はコンドーム持って来てないんだ」
「いやっ、抜かないで! もっと突いて!」
「もう、出そうなんだ。これ以上動いたら出ちゃうよ」
「いやっ、突いて、もっと突いて!」
彼女は真顔で怒ったように私に言いました。
そして、私のお尻を掴み、自分に引き寄せます。
そして同時に自分の腰を私に押し付けます。
彼女のいつものやり方です。
また私の先端が彼女の中で動かされます。
「だめだよ。出ちゃうよ!」
弱気な気持ちが更に射精を早めます。
彼女はかまわず私を引き付け、下半身を動かします。
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