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マスター・ナオキの怪店日記
第13章 冥途の土産
昨年の晩秋には自分の体調の異変に気付いていました。今までになく調子が悪いな、と。
でも忙しさにかまけて病院には行かずにやり過ごしていました。
両親が実家から離れて初めての正月。家族一同みんな揃ってにぎやかな正月を過ごしました。両親も、隠居の身で時間もあることだし久しぶりの実家だったのですこしのんびりしてからこちらへ戻るつもりでいました。
休みも明け、さあまた一年始まるなという時に、とうとう体が悲鳴を上げました。倒れた時にちょうど母と一緒だったので、母が救急車を呼びすぐに病院に運ばれました。精密検査の結果、かなり悪いと診断されまして。治療に専念しなければならなくなりました。
両親は、私が回復するのを信じながら仕事や家の事を手伝ってくれました。父は現場で、母は妻と一緒に仕事場と家事とを。
孫である私の子供たちにも努めて明るく接してくれて、不安を抱かせないように面倒見てくれました。
大丈夫、お父さんはきっと良くなるからって。
でも・・
とうとう力尽きてしまいました。とても残念で、無念です・・