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マスター・ナオキの怪店日記
第13章 冥途の土産
 無念?力尽きた?って、どういうことだ?
 尚樹は首を傾げたまま、信一の言葉の意味を必死に理解しようとした。自分の目の前にこうして顔を見せている人間の、どこが力尽きているというのだ。
 なかなかうまく言葉が出ない尚樹の顔を見て信一は、さっきまでの静かな表情から一転、子供のような無邪気な表情を浮かべ、軽く声さえ上げて笑い出した。
「意味不明だとお思いですよね、そりゃそうだ。力尽きた人間がまるで人間のようにあなたの前に座っておしゃべりをしているのだから」
 まさか、と、やっと尚樹は気づき始めた。
「そう、お分かりになったようですね。そうです、夜な夜なこのお店を訪ねてくる、あの彼らと同じ人間・・いえ、元人間、ですよ」
「だけど・・あの人たちはみんな客が引けて店には私一人になってからでないと来なかったけど、あなたはまだ他の客がいるのに普通に入ってきたじゃありませんか。帰っていく客の中にはあなたに視線を向けていた人もいましたよ。それって、見える人だったからということですか?」



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