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マスター・ナオキの怪店日記
第13章 冥途の土産
「あの、埼玉からここまでお一人で来られたんですよね?大丈夫なんですか?お体の方は」
 親が世話しに帰ってくるというと、よほどの病気だと想像する。根掘り葉掘り聞くのははばかられるが、一人で遠くまで来ることが体への負担にはならないのだろうかと、心配せずにはいられない尚樹だった。
 信一は、病の影をみじんも感じさせない笑顔で大丈夫ですと答えた。
「ありがとうございます。もうすっかり終わったんで・・なので、もう少し先になってしまいますがまた両親がこちらに通うようになると思うので、これからもお付き合い、よろしくお願いします」
 明るい表情。それは、病を克服したから得られたものなのだろう、と尚樹は信じて疑わなかった。誰だって病気が治って元の生活に戻れたら、嬉しいし楽しいにきまっていると。
 尚樹は詳しい事情を聞いてみたいと思う反面、今日会ったばかりの相手にあれこれ聞くのもどうかとためらいもある。  
「あまり・・事細かに話すのもなんですし、聞かされるあなたも気が重いでしょう?」
 信一は、まるで尚樹の心中の葛藤を見透かしているようだった。
「大まかな感じでお話ししますね」
 尚樹と視線を合わせてから、信一は独り言でも呟くように話を始めた。

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