この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
マスター・ナオキの怪店日記
第13章 冥途の土産
「なんだかまどろっこしくてすみません」
 申し訳なさそうに頭を擦る信一の顔は、信彦によく似ていた。
 店に来たばかりの頃、信彦もこういう仕草をみせていたっけ、と尚樹の頭の中に信彦の顔が浮かび上がった。
 少しの沈黙が二人を包む。その間に信一は、店の中をじっくりと眺めている。尚樹の背後の棚に並ぶ酒瓶へ、一つ一つ確かめるように視線を送る。マホガニーのカウンターに手を滑らせて、その感触を確かめている。最後に尚樹の顔に焦点を合わせ、穏やかに口角を上げ、静かに頭を下げた。
「父や母が言うように、ほんとうに素敵なバーですね。私も酒が飲めたなら、こういう居場所を確保してみたかったです・・あっ、そうだ、最後の最後に、お酒を飲んでみたいんですが、いいですか?」
 良い事思いついたとばかりに急に表情が弾む信一。尚樹もそりゃいいと、店で一番高い酒を棚から取った。
「そうですよ、冥途の土産に是非」
 なかなかうまいことを言う。そう自画自賛したのもつかの間、冗談ではないんだったと今度は自責の念に駆られる。
 だが言われた当の本人は、その通りだと手を叩いて笑い転げた。



/111ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ