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マスター・ナオキの怪店日記
第13章 冥途の土産
「一番肝心な事を忘れていました。父と母を許してやってください。マスターにご迷惑をおかけしてしまったことをしきりに気にしていまして」
「許してだなんてそんな・・私は何も迷惑など・・」
「父と母、見える人だったんですね。この世を去る間際に知りました」
ああそのことか、と尚樹は小さな息を漏らした。たしかに、とんでもないことになっちまったと最初の頃は思ったけれど、今では何とか慣れてきている。
それにしても、親の特技というか特殊な能力を、子供である彼でさえ知らなかったことに少し不思議な感じがした。
「薄れていく意識の中、父と母が語り掛けてきたんです。いつでも会えるんだよって。話もできるし姿も見えるんだよって。まさか、自分の親が、それも両親共に霊と対話ができるなんてね。弟も知らないでしょう。その両親の、マスターに悪い事をしてしまったという心の声が私に聞こえましてね。それで天に昇る前にお会いしたくて来たんです」
なんて心の繋がりの強い親子なんだ。その親子がこんなに早くに別れなければならないなんて。
彼らの辛さを想像したら、目頭が熱くなって、尚樹の瞳から輝きが滑り落ちた。
「許してだなんてそんな・・私は何も迷惑など・・」
「父と母、見える人だったんですね。この世を去る間際に知りました」
ああそのことか、と尚樹は小さな息を漏らした。たしかに、とんでもないことになっちまったと最初の頃は思ったけれど、今では何とか慣れてきている。
それにしても、親の特技というか特殊な能力を、子供である彼でさえ知らなかったことに少し不思議な感じがした。
「薄れていく意識の中、父と母が語り掛けてきたんです。いつでも会えるんだよって。話もできるし姿も見えるんだよって。まさか、自分の親が、それも両親共に霊と対話ができるなんてね。弟も知らないでしょう。その両親の、マスターに悪い事をしてしまったという心の声が私に聞こえましてね。それで天に昇る前にお会いしたくて来たんです」
なんて心の繋がりの強い親子なんだ。その親子がこんなに早くに別れなければならないなんて。
彼らの辛さを想像したら、目頭が熱くなって、尚樹の瞳から輝きが滑り落ちた。