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マスター・ナオキの怪店日記
第3章 新天地を求めて

 造園業を息子に託し、長澤信彦と照美夫妻は住み慣れた土地を離れた。
 息子も結婚して所帯を持ち、その下の息子もサラリーマンを辞めて兄貴を手伝うことになった。
なので家業は安泰。信彦たちものんびりと息子たちを手伝うつもりでいたらしいが、長男の嫁とそりが合わなかったらしい。
 家を別々に建てて住めばいいと、最初は簡単に考えていたらしいのだが、今の時代、新しいビジネスとしての造園業へと舵を切るべきだと、三代目である父の介入を遠慮してもらいたいと息子が言ってきた。
 きっと嫁の入れ知恵だと二人もわかっていたらしいが、あとを任せたわけだし、いずれは自分たちは手を引くことになるのだからと、完全隠居を宣言して、さらには地元を離れて未知の土地へと移り住むことに決めたのだという。
「近くにいれば、面倒な時にだけ頼りにされていいように使われるだけだって、わかっていますからね。特に私は。母さん、母さんって。だからまったく縁もゆかりもない新たな住処を探すことにしたんです」
「埼玉県って、海なし県でしょ、家の窓から海が見えるなんてすごい憧れがあるんです。それで横浜のベイエリアって場所に決めたんです」


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